BESPOKE MY LIFE

大塚朝之氏大塚朝之1
PROFILE

大塚朝之(おおつか ともゆき)1981年生まれ。東京・仙川で生まれ育つ。15歳から25歳まで俳優業を志し、役者を引退後、コーヒー豆販売店に勤務。品評会で優勝するような高品質のコーヒーを気軽に紙コップで提供し、たくさんの人に届けたいと決意し、スペシャルティコーヒーのカフェを開くことを決意。2011年東京・恵比寿に猿田彦珈琲を開店。2014年 大手飲料メーカーの商品を監修。現在都内を中心に10店舗を展開。『たった一杯で、幸せになるコーヒー屋』をコンセプトに、最高のホスピタリティを目指す日本発の珈琲ブランドとして躍進中。

たくさんの人に助けられて実現した、猿田彦珈琲の心臓部・調布焙煎ホール

たくさんの人に助けられて実現した、

猿田彦珈琲の心臓部・調布焙煎ホール。

ちょうど仙川にある焙煎所が、あと3年でパンクするなと思っていた時に、京王電鉄さんから「珈琲店をつくりたい」と声を掛けていただいたんです。そこで、せっかくだから新店舗には焙煎所を併設したいと提案しました。それを京王電鉄社内の僕と同世代の方々が一生懸命頑張って、社内に企画を通してくださって…。特に、ここは床下に線路が通っていることもあって、大きな設備を入れる際の耐荷重の問題等、安全性がシビアに問われる場所なんです。それを設計会社やディベロッパーの皆さんが非常に協力的で、何とか完成させることが出来ました。でも完成したのを見ても、大きすぎてなんだか自分の店じゃないみたいで。笑

 

このプロジェクトに取り掛かるとき、「僕の人生で出会った一番哲学的な人、師匠みたいな人は誰だろう?」と考えて、選書家の幅允孝(はば・よしたか)さんの顔が思い浮かびました。それで幅さんにコンセプトを相談したら「ただ格好良いお店を作るのではなくて、珈琲を通じて人を気持ちよくさせる事が大塚さんのやりたいことなんじゃないの?」と言われたんです。そこで、客席と焙煎所の壁をガラス張りにして、朝から晩まで珈琲のことを考えている勤勉というか珈琲の変態ともいえるスタッフの姿をそのままお客様に見ていただく…というアイデアをもらいました。

 

空間デザインは、谷尻誠さんと吉田愛さんが率いるサポーズデザインオフィスです。谷尻さんは駆け出しの頃に、フレンドリーにやさしくしてくださった文化人の一人ですね。笑  いつか自分が一人前になったら仕事をお願いしたいと思っていて、ずっとご連絡していなかったんですけど、「何でもっと早く言ってくれなかったの?」と快諾してくださいました。

 

本当に皆さんに助けられて実現したお店ですね。

すごく良い珈琲をすごく良い機械で淹れてみたい。

それだけの想いで始めた8坪のお店。

いま思えば、一番最初の恵比寿のお店に200~300万投資するときの方が、むしろ精神的に大変だったような気がします。あの頃は、ほんとうに暗闇に押しつぶされる夢を見ていましたね。笑

 

名前(ブランド)がないところから始めることは、ある意味では気が楽ですが、目標を持ってやっている当人としてはめちゃくちゃきつかったです。名前がないところから、名前を作っていくことの大変さ。それでも何とかやってこれたのは、やっぱり「猿田彦珈琲」というネーミングの影響が大きいと思っています。ロゴもデザインしてくださったヒロ杉山さんご夫婦が考えてくださいました。

ハードワークの毎日

そんなきつい思いをして、自分が何をしたくて恵比寿のお店を作ったかというと、「すごく良いコーヒーをすごく良い機械で淹れてみたい。」ただそれだけでした。

 

27歳くらいのとき、某大手コーヒーチェーン店で半年だけアルバイトをしていたんですが、雑用ばかりで全然マシンに触れさせてもらえなかった。だから、店舗の廻し方だけでも学んでおこうと考えて一生懸命働くものの、そればかりやっていても良い豆や良いマシンには触れない。当時、僕が使いたいと思っていたエスプレッソマシンのある店は、国内では2~3件しかありませんでした。もし、そこに職場を移したとしても、マシンに触らせてもらえるまでに結局は数年かかってしまう。だったら、自分で買った方が早いと思ったんです。

 

猿田彦珈琲が他の珈琲店と何が違うのかと聞かれたら、僕らは誰よりハードワークをしている…ということでしょうか。だから目の前のことをまじめにやっていれば、それが強みになると信じていました。最初の一店舗目は、僕も含めて数名の有志メンバーがとにかく一生懸命働いて、色々な意味で濃縮されたお店でした。その時のメンバーは、スポーツに例えるなら「殿堂入り」ですね。

スタッフ一人ひとりが提供する一杯の珈琲が猿田彦珈琲のブランドをつくっている。

スタッフ一人ひとりが提供する一杯の珈琲が

猿田彦珈琲のブランドをつくっている。

いつか小山薫堂さんと食事をご一緒した時に「ブランディングって何だと思う?」と聞かれて、それは「お化粧」だと教えてもらったんです。かつて役者業をやっていたのでなんとなく解ったんですが、「ノーメイクのように魅せるメイク」もある訳で、僕らはそれをやっているのだと思うんです。

 

実は、最初の頃はスタッフとご飯を食べに行くことに一番投資しました。そこで「お金の価値観」についてずっと話し合うんです。例えば、「お前はベンツに乗りたいかもしれないけど、お前のお母さんは別にプリウスだって幸せと思うだろうから、見栄をはるばかりなのはよくない!」とか。笑

 

そうしてお金に対する価値観を共有していくことで、自分たちの提供している珈琲の価値観も変わってきます。僕たちが提供しているのは一杯たった500円の珈琲ですけど、スタッフ一人ひとりが、その500円にいかに価値を込めようと考えてくれるか。スタッフ自身の意識が変わることで、ホスピタリティが変わり、猿田彦珈琲の提供価値が変わる。それがお客様に伝わって、少しずつ世の中に広がっていく。当初から、今はそんな時代なんじゃないかと感じていました。

スタッフとの価値観の共有とマネジメント

お店が広がってスタッフの数が増えて、そんな価値観を共有していくとき、僕はよくサッカーチームに例えるんです。例えば、一年を通じてシーズンを戦うときに、最初から100点のチームより、最初は不調でもどんどん調子を上げていくチームの方が優勝したりする。だから、いま50点でもどうやってパフォーマンスを上げていくかを考える事が、監督の仕事だと思うんです。

 

一方でコンセプトみたいなものも重要だと思っています。

 

「たった一杯で幸せになれるコーヒー屋」というコンセプトを掲げているんですが、それをどう浸透させるかは、ものすごくトライ&エラーしてきました。言葉の情報が多すぎるとマニュアル的な面白みのないお店になってしまう。そこで、外部の方に協力してもらって誰でもできるようなシンプルな価値観をあえて指標として定めたんです。

 

例えば誰もが体現しやすい価値観を前提に置きながら社内でのカッピング(コーヒーの評価)講座を開くと、本来なら言いづらいことも社歴関係なく言い合えたりしたり。会社の雰囲気が少しずつよくなってきました。

良いものをたくさんの人に届けたい。

良いものをたくさんの人に届けたい。

(今回、初めてオーダースーツを着てみて)

一言で言うと、「気持ちがいい」ですね。笑  すごく楽しみにしていたんですよ。「服って、ワクワクするんだな」と思いました。オーダーの過程も楽しいし、ドキドキしましたね。自分のようにスーツに詳しくない人間がオーダーなんてしなくてもいいのかなって、卑下したところがあったんですが、スタッフの皆さんに優しくしていただいて、「知らなくても大丈夫」という空気を作っていただけたので良かったです。

 

拘った珈琲をやっていると「入りづらい」というお店もあると思うんですけど、僕らは本当に美味しい珈琲を気軽にたくさんの人に飲んでもらいたいと思っています。ですから、“こだわった良い仕立てのスーツを手の届く値段で届ける”という、クロトの考え方は僕もすごく共感しますね。

大塚朝之氏採寸
LIFE STYLING by CLOTHO

 
  life styling 大塚氏
STYLING
POINT

「メディア取材や人前に立つときに着用できる1着が欲しい。」

という大塚朝之さんのリクエストから、クロトのビスポークが始まりました。生地選びは大塚さんのホスピタリティ溢れる人柄に似合う、淡いソフトな色をセレクト。お仕事柄、ネクタイを締める日は少ないとお伺いしたのでジャケパンスタイルでも楽しめるようにパンツ丈は短めのデザインに。

スーツスタイルでは、ビシッと決まるベスト付きのスリーピースをおすすめしました。

大塚朝之さんは俳優ご出身なだけあり、ダブルのベスト姿も格好良く着こなして頂けました。

猿田彦珈琲の大躍進は、大塚朝之さんの情熱、バリスタが淹れる美味しいコーヒー、そして癒しの空間と接客から生み出された結果だと、店舗兼焙煎工場を見学してひしひしと感じました。

若手経営者のホープにクロトのスーツを着て頂き、益々のご活躍を楽しみにしています!